企画展 おかねのかたち 2023
※おことわり:このページに記載の内容は2023/03/04現在のものです。以降の誤記等の修正により必ずしも常設展ページの記載と一致しないことがあります。また、ここに掲載の貨幣は一例であり、前述時点で収集した貨幣を表示しています。
これは過去に実施した企画展のアーカイブとなります。
この企画展の対象年齢は小学校3年生以上としています。
- プロローグ - おかねのかたち
- 日本のおかねのかたち
- 外国のおかねのかたち
- 穴があいているおかねのかたち
- 現在日本で発行されている貨幣の中で穴があいているもの
- かつて発行されていた1円貨幣と5円貨幣の移り変わり
- 明治以降に日本で発行された貨幣の中で穴があいているもの(現在発行されている貨幣を除く)
- 外国の穴のあいている貨幣
- おかねのかたちの理由
- エピローグ - おかねのかたち
もくじ
プロローグ - おかねのかたち
みなさんは「おかねのかたち」と聞いて、どんな形を想像するでしょうか。お札のような長方形やはたまた交通系ICカードやクレジットカードのようなカード、スマートフォンで使えるようなQRコードを想像する人もいるでしょう。では、「コインのかたち」と聞くとどうでしょうか。多くの人は「丸」と答えるのではないでしょうか。実際に、2023年3月現在日本で発行されているコインは全て丸い形をしています。
現在日本で発行されている貨幣 (1955年、1959年、1967年、2021年〜)
額面 :
1円アルミニウム貨(1955年発行) 5円黄銅貨(1959年発行) 10円青銅貨(1959年発行) 50円白銅貨(1967年発行) 100円白銅貨(1967年発行) 500円バイカラー・クラッド貨(2021年発行)
サムネイル :
日本のおかねのかたち
日本では1871年に新貨条例を制定する際、当時の大蔵参与であった大隈重信が以下のような理由を掲げました。
- 貨幣を数えたり揃えたりする場合に丸い方が便利
- 四角形などと比べてとがっている角がないため削れたりしづらく長く使える
- 大量造幣の際に丸い方が作りやすい
外国のおかねのかたち
ところで日本から離れ、外国に目を向けるとどうでしょう。もちろん外国でも丸いかたちのコインを多く見かけますが、日本では発行されていないかたちのコインもあります。丸に近い7角形や12角形など多角形コインもあれば、3角形や4角形などコインという概念を変えてしまうようなかたちのコインもあります。また、コインの周りが花や貝がらのような形をした波型のコインを発行している国もあります。
中でも12角形や波形のコインを発行している国はかつてイギリスが統治していた国々(いわゆる大英帝国)に集中しており、イギリスにおいては現在でも20ペンス、50ペンス貨幣が7角形で発行されています。
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7角形
額面 :アイルランド 50ペンス 白銅貨(1970年発行) アラブ首長国連邦 50フィルス ニッケルメッキスチール貨(2013年発行) イギリス 20ペンス 白銅貨(1985年発行) イギリス 20ペンス 白銅貨(2008年発行) イギリス 欧州経済共同体加盟記念 50ペンス 白銅貨(1973年発行) イギリス 公共図書館法施行150周年記念 50ペンス 白銅貨(2000年発行) タンザニア 20シリング ニッケルメッキスチール貨(1990年発行) タンザニア 50シリング 黄銅メッキスチール貨(1996年発行) パプアニューギニア 南太平洋芸術祭記念 50トエラ 白銅貨(1980年発行) パプアニューギニア 第9回サウスパシフィックゲームズ記念 50トエラ 白銅貨(1991年発行) パプアニューギニア パプアニューギニア銀行25周年記念 50トエラ 白銅貨(1998年発行) フォークランド諸島 20ペンス 白銅貨(2004年発行) フォークランド諸島 50ペンス 白銅貨(1998年発行) ボツワナ 5テベ ニッケルメッキスチール貨(2014年発行) ボツワナ 25テベ ニッケルメッキスチール貨(2014年発行) モザンビーク 1メティカル ニッケルメッキスチール貨(2006年発行)サムネイル : -
8角形
額面 :サムネイル : -
10角形
額面 :サムネイル : -
11角形
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12角形
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波形
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3角形
額面 :サムネイル : -
4角形
額面 :サムネイル :
穴があいているおかねのかたち
日本では5円や50円のコインに丸い穴があいています。中国や日本の昔のコインには四角い穴があいており、これは材料となる金属の節約以外にも穴にひもを通してお金をまとめていました。
昔発行されていた四角い穴のあいた貨幣 :
かつて発行されていた1円貨幣と5円貨幣の移り変わり
額面 :
サムネイル :
なお、文鉄・お札とコインの資料館のロゴマークは日本の和同開珎から始まる*貨幣が歴史というレールと共に歩んできたシーンを表現し、あえて貨幣を特定しないことにより、様々な貨幣を想像していただけるようなマークを表現しています。過去の貨幣が四角い穴であるのに対し、現在の貨幣は丸い穴として描き、時代の流れを表しています。(*日本のいわゆる穴銭の始まりについては諸説あります。)
歴史的な背景から日本ではそれほど穴の空いたコインはめずらしくないものの、明治の新貨条例制定直後は一旦穴のあいたコインは姿を消しました。しかし、大正時代初期から再び穴の空いたコインが登場しました。
明治以降に日本で発行された貨幣の中で穴があいているもの(現在発行されている貨幣を除く)
額面 :
5銭白銅貨(1917年発行) 5銭白銅貨(1920年発行) 5銭ニッケル貨(1933年発行) 5銭アルミニウム青銅貨(1938年発行) 5銭錫貨(1944年発行) 10銭白銅貨(1920年発行) 10銭ニッケル貨(1933年発行) 10銭アルミニウム青銅貨(1938年発行) 10銭錫貨(1944年発行) 5円黄銅貨(1949年発行) 50円ニッケル貨(1959年発行)
サムネイル :
外国の穴のあいている貨幣
額面 :
インドネシア 5セン アルミニウム貨(1951年発行) スペイン 25ペセタ アルミニウム青銅貨(1992年発行) デンマーク 25オーレ 白銅貨(1966年発行) デンマーク 25オーレ 白銅貨(1973年発行) パプアニューギニア 1キナ 白銅貨(1975年発行) ハンガリー 2フィレール アルミニウム貨(1950年発行) フィリピン 5センタボ 銅メッキスチール貨(1995年発行) ラオス 10セント アルミニウム貨(1952年発行)
サムネイル :
おかねのかたちの理由
日本のようにコインはかならずしも丸いだけではないということを、お分かりいただけましたか?なぜ外国では丸いかたち以外のコインが作られているのでしょうか。
偽造・変造対策
丸くないことで中心線が明確になり、画像の例のように中心線が異なっただけでコインの印象は大きく変わるため偽造であることを区別しやすくなり偽造しづらくなります。
左 : 正しい角度
右 : 誤った角度の例
右 : 誤った角度の例
視覚に障害がある人の区別容易性
視覚に障害がある人がコインの額面を識別する際に形を大きく変えることによって、手触りが変わり区別しやすくなります。ユーロなどでは「スペインの花」と言われる周囲に大きなくぼみを複数入れることによってより区別しやすくしています。
エピローグ - おかねのかたち
「おかねのかたち」いかがでしたか?丸いかたちが当たり前だと思っていたコインも世界にはさまざまな文化、歴史によりいろいろなかたちのコインがあります。オーストラリアやカナダ、香港、フィジーなどさまざまなかたちのコインが使われている国の歴史の源流はかつてイギリスから独立した国及び地域であるなど、「おかねのかたち」からその国の歴史を紐解くことができます。
1枚のコインからその国に興味を持つのもおもしろいかもしれません。文鉄・お札とコインの資料館では262国と地域、2,312点(2023年02月23日現在*)のお札とコインを展示しています。さあここから色々な国のお札とコインを探しに行きましょう。